主題とは、構造とは、その緊密性

主題」とは、作者が言いたいことのエッセンス、また、「構造」とは、それをうまく表現すために選ぶ「かたち」のこと。

   一般に、主題を「動機」づけるアイデアを「モチーフ」と言い、文学のみならず音楽や絵画、その他「芸術」の制作に関わって、本質的な「意味」の中心をなすもの。
   日本文学の古典では『源氏物語』、近代文学では漱石の新聞小説に共通する、世の中を大きく変えようとする、文学的な「どんでん返し」が、それぞれの「モチーフ」となっている。
   ぼくが<『源氏物語』深層の発掘   秘められた詩歌の論理>(笠間書院2015)、<『紫式部集』のちから相撲    メイキング・オブ・『源氏物語』>(モチいふ叢書01、2016)、<『源氏物語』の歌589首野構築原理 フェミニスト紫式部の挑戦>(モチいふ叢書04、2019)で解明したのは、それまで一千年もの間、だれにも見つけられなかった『源氏物語』の主題――夫光源氏の不実による妻(主人公)紫上の絶望と次世代に託す夢――である。
 <漱石のどんでん返し  『坑夫』から『明暗』への友愛世界《220=284》>(2016)と、<三つの純心物語 鴎外・サリンジャー・カーヴァー>(モチいふ叢書03、2017)で指摘したのも、いつまでもぬかるみのように続く文学作品の誤読だった。
   このサイトでは、文学テクストについて、こうした読み違いをしない方法を考え、日本語・日本文学の本質を明らかにする。

           主題を明確にするための論理: テクストの「かたち(構造)signifier」を工夫する。

そのためにーーー                                                      

   『源氏物語』で紫式部がとった数理: 五言律詩の5字8行の40字を「40巻」の基本的な論理とする。さらにまた、三十一文字の和歌の数理を589首の和歌に援用して、<31x19>というように、31首ずつの束(5ー7ー5ー7ー7)を19個重ねて、物語の情緒的な側面にも、意味の大きな括りの単位を施す。

 さらには、『紫式部集』の歌128首がもつ数理: <128=31×4+4>(4つの31首プラス「辞世4首」によって、『源氏物語』54巻の成立過程を物語る、歌だけの「推理物語」という前代未聞の離れ業!

     漱石がとった数理: <220=284>という「友愛数」(=互いの除数の和がamicable友愛的numbers数!)を新聞連載回数と呼応させる。『それから』(110回)+『こゝろ』(110回) = 220! 『三四郎』(117回)+『行人』(167回) = 284! 『坑夫』(96回)+『明暗』(188回) = 284!

 

  二人の芸術家――紫式部と漱石――のテクストが今日まで「愛読」された理由は、その精緻な論理構造が二十一世紀の今日まで、解き明かせなかったからだ。ミステリアスな「主題」(作者が言いたいことの核心にあること)が、誰にも簡単に捕まえられないようにテクストに隠された。今はじめて明かされる式部と漱石の「文学的な大冒険」あるいは「たくらみ」!!