次の本:日本文学の方法序説

アメリカへ来て、次の本の原稿にとりかかる。仮題は:

     <『日本文学の方法序説――漱石『こゝろ』と紫式部『源氏物語』を中心に>

 本書の目的は、千年前から『源氏物語』が、百年前から『こゝろ』が、誤読されて今日に至っている事態を打開するための「方法序説」。ほんのちょっとデカルトに肖って、日本語で「我思う、故に我あり」は、<cogito ergo sum>とは意味の上で互換性がない(日本語と西欧語、日本文学と西欧文学は、お互いに翻訳できない)ことを、現時点で日本人(西欧人)が認識すべき重大問題として再提出する。

  ・現代日本語の「イマ・ココ」――漱石の『こゝろ』を例に

  ・古典語の「イマ・ココ」――『源氏物語』を例に

  ・カズオ・イシグロの文学とその翻訳の不可能性について